嚥下障害について

嚥下(えんげ=飲み込み)障害

 病気や老化などにより、飲食物の飲み込みが困難になったり飲み込んだ飲食物が間違って気管に入ってしまうことを、嚥下障害といいます。飲食物が間違って気管に入ってしまうと、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)という治りにくい肺炎になる危険性があります。
 通常私たちは、噛み砕いた飲食物を舌で喉の奥に送って飲み込みます。喉の奥から喉頭(こうとう=喉ぼとけのある所)という気管の入り口までは、呼吸した空気と飲食物が同じところを通っており、飲食物を飲み込んだ時、正常であれば気管の入り口に蓋(ふた)がされて、飲食物が食道から胃に送られます。このメカニズムに障害が及ぶと、飲食物の飲み込みが困難になったり、飲食物が間違って気管に入っててしまうわけです。
 脳梗塞、脳出血などの脳卒中や、パーキンソン病、認知症、老化などが嚥下障害の原因となります。
 食事中にむせたり、咳をしたり、肺炎を繰り返すことは、嚥下障害を疑わせるサインですが、むせたりしなくても、誤嚥して飲食物が間違って気管に入っている場合があることに注意しなければなりません。
 嚥下障害が疑われる場合に行われる検査には、水飲みテストや、反復唾液嚥下(はんぷくだえきえんげ)テスト、嚥下造影検査(えんげぞうえいけんさ)などがあります。
 嚥下障害への対応としては、食事中や食後の姿勢の検討、食形態の検討、嚥下訓練(えんげくんれん)などのリハビリテーションを行います。
hsp-igaku.enge.jpg  食事中や食後の姿勢としては、症状に応じて可能であれば30度、60度、90度など上半身を起こした姿勢をとります。食後すぐに臥位にしないことも重要です。
 主食は普通のご飯か、お粥か、お粥の固さはどうするか、おかずは普通か、きざみ食か、ムース食かミキサー食やブレンダー食か、おかずにとろみをつけるか、飲み物にもとろみをつけるか等を検討します。これらの食事では充分に栄養がとれない場合には、補助栄養を併用する場合もあります。また、流動食を管から摂取して頂く経管栄養(けいかんえいよう)という方法もあります。

院長 島田 薫